公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。証拠能力が高く、金銭トラブルなどにおいて裁判所の手続きを待たずに契約内容を強制執行できます。有効に活用すれば、問題解決のために威力を発揮するメリットがあります。そこで今回は、公正証書の種類や作成の流れについてご説明します。

公正証書を持つ女性

さまざまな公正証書の種類

公正証書は、いくつも種類があります。代表的なものは、金銭関係(賃借や債務)、男女関係(交際・婚約・内縁の解消、離婚)、親族関係(扶養・介護や財産管理)、遺産関係(相続など遺産の処分方法)、不動産関係(売買や賃借)について定めた契約内容を、書面化しています。

たとえば金銭関係では債務の支払い方法、男女関係では離婚にからむ親権や養育費、親族関係では扶養の負担割合や老後の介護依頼、遺産関係では分割割合や贈与、不動産関係では土地の賃貸しや買い取りなどについて取り決めた内容を、公正証書として記録します。このうち老後の介護依頼などは、高い証拠能力のある公正証書の作成が義務付けられています。

作成の流れ

公正証書の作成は大まかに、公証人への内容説明、文書の作成案と必要書類の準備、作成日の決定、作成日に公証役場へ出頭、公証人が文書作成、費用の清算という流れになります。

文書を作成する際は、公証人による読み聞かせの後に、当事者と公証人による原本への署名捺印が行われ、書面が交付されます。代理人が出頭した場合には、原本への署名捺印も代理人が行い、謄本を受け取ります。正本の送達を申請し、公証人が特別送達を手配します。送達されると公証人から連絡が入るので、送達証明書を受け取ります。

文書案の作成や手続きの代行は行政書士に依頼を

公正証書の内容は、優れた証拠能力を発揮します。公証人に見せる文書案や説明内容は、十分に検討する必要があるでしょう。また日々の仕事に追われながら多くの書類を用意し、作成日には公証役場に出頭しなければいけません。

これらの作業は、当事者本人が抱え込むには負担が大きいと言えます。希望に見合った公正証書を受け取るためにも、法的な文書作成の専門家である行政書士へ依頼することをおすすめします。