売れっ子弁護士が、さらなる飛躍を求めて渉外弁護士を目指す。そんな弁護士の生き方も最近増えています。ところで、渉外弁護士とはどんな人たちでしょうか?今回は、世間的にあまり馴染みがない渉外弁護士について詳しくご説明します。

渉外弁護士の概要

渉外弁護士とは、主に海外に多くの案件を抱え持つ弁護士のことです。似た様なジャンルに、国際弁護士と呼ばれる人たちがいます。実は渉外弁護士も国際弁護士も決まった定義があるわけではありません。国際弁護士も渉外弁護士も、ともに業務内容が海外と関係の深い点では共通していますが、ひとつだけ、異なる点があります。

一般的に国際弁護士とは、「外国の弁護士資格を所有するもの」「日本の弁護士資格を持って外国がかかわる案件を多く持つもの」「日本滞在の外国人弁護士」これら3タイプに分かれます。国際弁護士は国内で法律業務に携わる外国人弁護士も含みますが、渉外弁護士は日本の弁護士資格を持っている人たちのみです。この点が、国際弁護士との大きな違いでしょう。

どんな業務がある?

グローバル化が進む社会の中で、生き残りをかけ多くの企業が海外進出を図っています。渉外弁護士は、そんな海外で事業展開する国内企業と顧問契約を結び、彼らが国外において不利な立場とならない様、さまざまな面から法的サポートに携わっています。

言うまでもなく、海外の日本法人の事業活動には現地の法律が適用されます。法律を知らないばかりにビジネスマンが逮捕されたり、裁判にかけられたりするケースも少なくないため、国内企業を守る意味でも渉外弁護士の役割は大きいと言えるでしょう。

渉外弁護士になるには?

渉外弁護士になるには、同じ分野で活動する弁護士の所属する法律事務所に入るのが一番の近道です。渉外事務所に入るには、法科大学院生の期間中にサマー・クラークと呼ばれる就業を経験する必要があります。

これは法科大学院修了年度の7月から9月に実施される研修プログラムで、主に企業法務のスペシャリストが集う弁護士事務所が主催しています。渉外弁護士になるためのステップとして「1.法科大学院に入学する」→「2.修了年度にサマー・クラークを体験する」「3.司法試験合格後、渉外事務所に在籍して経験を積む」このプロセスがスタンダードと言われます。必要な資質としては、英語力があるのはもちろん、日本式の思考や慣習にとらわれない、柔軟で機知に富んだ国際感覚が求められるのは言うまでもありません。

活躍する渉外弁護士